わたしと専務のナイショの話




「おかえり。
 どうした、偉く疲れて」

 のぞみが秘書室に戻ると、デスクについていた祐人がそう声をかけてくれた。

「はあ、もう、なんだかわからないけど、疲れました」
と自分のデスクに座ると、ちょうど通りかかった先輩秘書、永井万美子(ながい まみこ)が微笑み、

「はい、あげる」
とはちみつレモンの飴をくれた。

 万美子は、
「疲れるでしょう? 専務のお相手。
 頑張ってね」
と実感込めて言ったあと、美しい髪をなびかせ、行ってしまう。

「……なんか今、めっちゃ同情されました」

 ありがたくいただきながら、万美子が去っていった方を振り返っていると、

「まあな」
とノートパソコンの画面を見ながら、祐人は言ってくる。
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