わたしと専務のナイショの話
「専務は、肩書き上は、専務にはなれても、今までの実績がないから、立場弱いし。
 此処からが正念場で大変だろ。

 異業種から来た人らしいしな。
 此処までは親の七光りが通じても、この先は実力が伴わないと厳しいよな。

 常務派の人も多いし。

 そのときそのときで、都合のいい方にすり寄って、カメレオンみたいに、ころっころ意見変えてくる役員も多いし。

 そんな専務についてる秘書は大変だ」

 おのれもそうであるのに、祐人は他人事のように、そう語る。

「お前の場合、新人で、そんな専務のところに配属されたから、みんなに同情されている」

「そ、そうだったのですか……。

 でも私、日々、研鑽を積んで、やがては、永井さんみたいな秘書になりたいですっ」
と容姿端麗にして、できる女、万美子が去った方を拝むように見ていると、後ろから、

「無理」
と言う祐人の厳しすぎるうえに、短すぎる宣告が飛んできた。
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