わたしと専務のナイショの話
 



「失礼します」

 ごちゃごちゃ言いながら、祐人が仕上げたデータを印刷して、京平のところに持っていくと、京平は届いていた封書の中身を読みながら、まだなにも出してないのに、

「ありがとう。
 そこに置いておいてくれ」
と大きなデスクの左斜め前を指差した。

 そうしておいて、気づいたように言ってくる。

「お前か」

 ……誰だと思ったんですか、適当だな、とは思ったが、秘書なんて、影のようなものだ。

 ささっと人目につかない感じで、仕える人の仕事が滞らないよう動けてこそ、秘書なのかもな、とは思った。

 なんか忍者みたいだが……。

 そう思ったそのとき、京平が、
「坂下、今日か、明日か、あさってか、暇か?」
と曖昧なことを訊いてきた。

「そのうちの何処かで時間が取れると思うんだが。
 少し話があるんだ」

 話って。

 ああ、もしかして、さっき言ったことは忘れてくれって話かな?
とのぞみは思う。
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