わたしと専務のナイショの話
 いきなり、祐人は立ち上がり、こちらに来た。

 えっ? なにっ?
と思うのぞみの肩をつかみ、キスしてくる。

 ひーっ。

「ちょ、ちょっと待ってくださいっ」
とのぞみは、祐人の胸を突いて押し返そうとした。

 だが、祐人は、
「ちょっと待ったら、あとはいいのか」
とのぞみの言葉尻をとらえ、言ってくる。

 いや、そうではなくてですねっ、と思ったが、動転していて、いい言葉を思いつかない。

 祐人はのぞみの肩をつかんだまま、上から見下ろし、言ってきた。

「坂下。
 一度、俺のものになってくれ。

 そして、俺を好きだと言ってくれ。
 そしたら、飽きて忘れられる気がするから」

 いやいやいやっ。

 貴方のものになった挙げ句に、飽きて捨てられるとか意味わからないんでっ、と思いながら、立ち上がろうとしたのぞみは、椅子に足を引っかけ、その場に転んだ。
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