その瞳は、嘘をつけない。
何故だって聞かれても。

そんなのわからない。

小さいころから、自分の感情を表に出したり。
希望を口に出すのは苦手だった。
わがまま言って、周りに迷惑かけちゃいけないし。

「お前さ、・・・」

珍しく言いよどむ秀くんに、私もずっと伏せていた顔を上げた。

目が合った。

秀くんの方が、つらそうな顔をしていた。
どうして・・・。


「お前、親とはどういう関係を築いてる?」
「親?」

どうしてここで親の話になるのか、さっぱり理解できないんだけど。

「…普通だと思う。」

そうとしか答えようがない。
というか、耕平の家に移り住んでから会ってない。

「お前が言う、その普通っていうの、普通じゃないんだよ。」

「なん、で、そんなこと…?」

話の筋が全く見えない。

「あいつに聞いたんだ。」
「あいつって?」
「前の男。」

また、耕平。

「聞いたって…会ったの?耕平に?」
「あぁ…仕事で病院に行ったら、いた。
話があると近寄って来たのはあいつの方だ。」
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