その瞳は、嘘をつけない。
「お前の、その考えすぎるところも、ややこしいところも、簡単じゃないのはわかってる。
全て受け止めるから。
支えるから。
だから俺のことも受け止めて欲しい
支えてほしい。」


あふれだす涙と嗚咽で返事もできなくなっていた私は
ただただ、秀くんに首に腕をからめて
抱きついていた。


その後もソファーで、静かに会話が続き、
あの赤いコートの女性は宮川さん、心理カウンセラーをしてる方で、秀くんは私の事を相談するために数回会ったということ、
そして会うときは初回を除いて宮川さんの彼氏さんも同席していたことを聞いた。

駅で見かけたときも、私の視界に入っていなかったけど、ちゃんと宮川さんの隣には彼氏さんがいたらしい。
秀くんから、私が秀くんと宮川さんの関係を誤解してると聞いてお店に来てくれたんだけど、秀くんが私にはまだ何も話していないと悟って慌てて退散したらしいということ。
「意地になって連絡しなかった俺も悪いんだけどな。
彼女に怒られたよ。早く誤解を解きなさいと。」


私の精神面については、日常生活や仕事に支障は出ていないので、今すぐに治療やカウンセリングが必要な程ではないけれど、
ゆっくりと向き合う必要があるとのこと。
「何度でも言ってやるよ。愛してるって。
おまえが大事だって。」

今まで何度も言ってくれた言葉だけど、
今までとは少し、違って聞こえた。

疑いを抱かずに、秀くんからの愛情を受け止めて。

そして、私も心からの愛を伝えていきたいと

そう思った。

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