その瞳は、嘘をつけない。
だめだ、思い出せない。

ベッドにいる私の服装は、ジーンズにニットのタートルという、
いつも通りの、色気のかけらもない普段着。

服を着てるってことは、
コトは何も起きてないってこと・・・だよね。多分、きっと。

でもきっとここは、一之瀬さんの家、だよね。

寝室であろうこの部屋にあるのは、ベッド、クローゼット、洗濯物干し用のラック。
身体を起こすと、ベッドの横の床に私のカバンが置いてあるのが目に入る。
ごそごそと携帯を取り出し時間を確認すると、6:28AM。
アラームが鳴る直前に目が覚めた訳だ。

男の人の一人暮らしだから、きっと1LDKか、もう1部屋あるくらいだろう。
この寝室の扉を開ければ、廊下などはなく、すぐ隣の部屋に繋がっているに違いない。

隣の部屋に、いるんだよね、一之瀬さん。
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