その瞳は、嘘をつけない。
「気になります・・・けど。」

「・・・・・・・・・。」

また、無言で見つめられてる。

とても見ていられなくて、視線を逸らす。
そして沈黙が落ち着かない。

意を決して立ち上がる。
「あの、私、帰りますね!!」

目が合わないように、ぺこんと頭を下げる。

「駅まで送ろうか?」
「い、いえ。地図アプリがあるので大丈夫ですから。」

玄関に向かうと、三和土に転がる、脱ぎ散らかした私の靴。
一体昨夜、私はどんな状態でここに来たんだろう。
穴があったら、入りたい。

「おじゃま、しました・・・。」

最後まで目を合わせられないまま、鍵を回して扉を開ける。

「あぁ、また。」

そう呟いた一之瀬さんの声は
私の脳内には届いていなかった。
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