その瞳は、嘘をつけない。
なんて大人な考え方をしてみようと思っても、出来なかった。
この心地良い関係がずっと続けばいいなと願ってるけど、それと同時に、それってどんな関係?という疑問がむくむくと沸いてくる。
秀くんはどう思ってるんだろうと、気になるけど、聞けない。
セフレ、都合の良い関係、身体だけ、という言葉が頭の中をぐるぐるとしている。

退勤後、携帯にメッセージが届いているのに気づく。

”悪い、今日は長引きそうだから行けない”

いつもなら、こんなメッセージが届いたら寂しくなってしまいそうだけど、今日は少しほっとしている。
こんな精神状態で会うと、小さなことが気になってイライラをぶつけてしまいそうだから。

今日は早番だったから、まだ夕方。
梅雨も明けて、この時間でもまだ日差しは強く日も長い。
たまには、寄り道でもしてみようかなと、自宅とは反対方面、繁華街へ向かう電車に乗った。
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