御曹司の愛され若奥様~24時間甘やかされてます~
「日和さんの荷物は後々ご家族から送られてくると聞いています。とりあえず部屋まで案内しますね。二階の突き当たりです」

この明らかに以上な事態の中で、さっきからずっと笑顔を絶やさない大和田さんに、ある意味恐怖心に近いものすら覚える。


「あの、私は同棲する気も結婚する気もーー」

「お部屋は二階ですよ。あ、寝室は一緒です」

「だから勝手に話を進めないでーーって……



寝室は一緒?」



何だろう。物凄い聞き間違いをしたような気がする。うん、聞き間違いに決まっている。



「そりゃあ、結婚するんだから寝室が別だったらおかしいよね」



聞き間違いじゃなかった。しかもさらりとタメ口に変わっている。



「い、嫌です! ていうかあなた、さっきからずっと笑っていますけど、見知らぬ女性と無理やり結婚させられることが嫌じゃないんですか⁉︎」

「確かに親同士が決めた結婚だけど、無理やりとは思っていないよ。いつかはこういう結婚をするんだろうなってことは子供の頃からわかっていたし」

「わ、私は結婚は自分が好きになった人としたいです! あなただって、本当はそうでしょう⁉︎」

「俺は、君みたいな可愛い子と結婚出来るの凄く嬉しいよ」

「う、嘘ばっかり」

言いながら、私はくるっと彼に背を向けた。いつまでも平行線になりそうな会話をさっさと切り上げるためーーというのは言い訳で、〝可愛い〟と言われて思わずドキンと胸が高鳴ってしまったのを悟られないためだ。
可愛いとか嬉しいとか、リップサービスなのはわかっている。だけど、こんなイケメンにそんなこと言われたら、ドキドキしてしまっても仕方ないのではと思う。
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