御曹司の愛され若奥様~24時間甘やかされてます~
「え? きゃっ」

突然彼に肩を掴まれ、私は慌てて後ろのシンクに手をついてバランスを保つ。
正面には大和田の顔がすぐ近くに迫っている。鼻先が触れ合いそうな、そんな距離。


「大、わ……」

名前を呼び掛けたその時、彼の唇が私の唇に触れた。
優しいキス……なんかじゃなくて、強引に奪われた、そんな表現の方が近い。

何度も角度を変えてキスをしてくる。

突然のことに身体が固まって、何も抵抗出来ない。


……私のファーストキス。目を瞑る隙もなく無理やり奪われてしまった。


それなのに、何で嫌だと思わないの?


何で……こんなにドキドキしてるの?



ようやく唇が離れると、大和田さんは濡れた自身の口元をぺろっ……と舐めた。

表情はどこか怖いままなのに、そんな顔すら、かっこ良いと思ってしまう。


すると、相変わらず近い距離のままで彼が口を開く。


「……日和、何か勘違いしているみたいだけど、俺はそんなに優しい男じゃないよ」

「え?」

「結婚を白紙にされないために気を遣う? 冗談じゃない。家族に迷惑が掛かろうが、俺は好きでもない女に優しくするほど良い奴じゃないよ」

こう見えて周りの女にはいつも冷たくしてるから、と彼は言う。


「それから、好きな女の子には無理やりキスしてしまうんだから、やっぱり優しくはない」

「え、え……?」

「優しくしたいと思うくらいに好きなのも、その一方で無理やり唇を奪って泣かせたいと思うくらいに好きなのも、日和だけだ」
< 32 / 77 >

この作品をシェア

pagetop