御曹司の愛され若奥様~24時間甘やかされてます~
「お父さんとゆっくり話せた?」

ソファから立ち上がり、ぐっと背伸びをしながら大和田さんは私にそう尋ねる。


「は、はい。まあ」

「今度は俺も連れて行ってね。俺も日和のお父さんとゆっくり話したいから。
ところで今日は何を話してたの?」

彼からのその質問には「いやっ、全然大したことじゃないので!」と誤魔化した。大和田さんとの思い出を確かめていた、なんて恥ずかしくて言えない。


……でも、本当にそれでいいの?


過去に何があったのかちゃんと知りたくて探りに行ったのに、恥ずかしいからって言い訳して逃げていたら何の意味もない。



「……ウソです。大事なことを話してきました」

ぽつり、と呟くようにそう話せば、彼は「ん?」と優しい表情で私を見つめる。


「大和田さんと初めて会った子供の頃のことを、思い出したくて父に話を聞きに行ってきたんです」


そう続けると、大和田さんは二重で大きな瞳を一瞬更に大きくさせて「思い出した⁉︎」と聞いてくる。


「その……」

「あ、思い出してなくても気にしないで! かなり昔の話だし覚えてなくても仕方ないよ! 俺との思い出にそうやって興味を持ってくれたことが嬉しいし!」

「……思い出しました」

「え?」

大和田さんはきょとんした顔で、私の瞳をじぃっと見つめる。


「……父の話を聞いても、最初は全く思い出せなかったのですが、当時一緒に写っている写真が一枚出てきたんです。
……背景に写っている杜鵑草を見たら、その……色々と思い出しました」
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