御曹司の愛され若奥様~24時間甘やかされてます~
衝動的に口から出た言葉。でも紛れもない本音だ。陽平くんはウソつきだ。好きだのなんだの平気で適当なこと言ってくる。


「日和? どうした?」


もう嫌だ。これ以上彼と話していたくない。


「……早く行った方がいいんじゃないの? あの女の人、待ってるよ」

「ああ、うん。この後二人で昼食いに行こうとしてて」

二人でって……。何でそんな正直に言ってくるの? 言い訳もしないの?


「でも、日和がお弁当作ってきてくれたのならそれ食べたいなー」


その言葉に、無性にイラッとした。

その言葉が聞きたくて頑張ってお弁当を作ったはずなのに、こんな風に聞きたくはなかった。
自分は遊ばれてるだけなんだって、もしくは本命は別にいるのに仕方なく私と結婚するだけなんだって、強く実感したから。


「……無理しなくたって、ちゃんと言ってくれれば婚約くらい解消してあげたのに」

「え?」

「政略結婚と言えど、私がお父様に頼めば私達の関係もきっと白紙に戻せるわよ」

「日和?」

「じゃあねっ」

彼に背を向けて、早く離れたくて駆け出そうとする。
だけどすぐに後ろから手を掴まれ、それを阻まれてしまう。


「日和。急にどうした? 俺、何か怒らせるようなことした?」

一見優しいその言葉が、私の胸をギュッと締め付けて、今まで味わったことのないような苦しみを味わわせる。

腕を掴まれているから動けない。
でも、振り向くことも出来ない……だって……。


「日和」

少し強めの口調で名前を呼ばれるのと同時に、肩をグッと掴まれ、強制的に振り向かせられる。

涙を我慢出来ずにぐしゃぐしゃの顔を彼に見られてしまった。
彼が目を見開いて驚いた様子を見せた瞬間、私は彼の手を振り払い、その場から駆け出した。
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