御曹司の愛され若奥様~24時間甘やかされてます~

そして、別荘に着いてから一時間後……。


「では私はそろそろ帰りますね。ちなみにお嬢様。目が腫れて凄い顔になっています」

「わかってるわよ!」

別荘に着いたら、鏑木は宣言通りに温かい紅茶を淹れてくれた。
紅茶が美味しかったから少しだけホッとして、私はさっき見た光景を鏑木に全て話した。そして、彼が聞き上手なのもあり、つい自分の気持ちーー陽平くんが好きであるということまで話してしまった。
そのため私はとても恥ずかしく、気まずい。だけど……


「色々どうもありがとう」

一人でいたら、きっとどうしようもなく泣いてばかりだった。多少なりとも気持ちが落ち着いたのは鏑木のお陰だ。


すると彼は。


「お嬢様が見た、陽平さんと抱き合っていたって女性って、本当に女性だったんですか?」

「え? どういうこと?」

「たとえば、実は女装している男性だったとか」

「いや、普通に女性だったけど。ていうか、真昼間から女装している男性と抱き合っていたら、それはそれで問題だと思うんだけど」

「まあ、それはそうなんですが……陽平さん、そんないい加減な男性には見えなかったものですから」


それは……確かに私もそう思うけれど。

陽平くんはいつも優しくて、意外に真面目で、一緒に住んでいてもいい加減な要素なんて何も見てこなかった。

だけど今日、女の人と抱き合っていたのは紛れもない事実だ。


「何か事情があるかもしれませんし、とりあえず陽平さんと一度ちゃんと話し合った方がいいかもしれませんね」

誤解って何? 女性がよろけたところを陽平くんが受け止めただけとか? あれはそんなんじゃないって思ったから「あー、ん……」と曖昧な返事をしたけれど、


「それでも納得いかなければ、いつでも家に帰ってきてください。待っていますから」


鏑木のその言葉には、少し泣きそうになった。


そして鏑木は車に乗って家の方へと走っていく。


……そうだよね。このまま一人で抱え込んでいても仕方がない。

それに私……自分が被害者ぶってばかりいるけれど、もし陽平くんが他に好きな人がいるにもかかわらず仕方なく私と結婚しようとしているのなら……


彼を解放してあげたい。


彼のことが好きだから。



彼とちゃんと話そう。

そうしたら……実家に帰ろう。
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