御曹司の愛され若奥様~24時間甘やかされてます~

と、思ったはいいけれど。


「帰ってこない……」


ベッドの上で体育座りしながら思わず独り言を呟く。
二十三時を過ぎたのに、彼が帰ってくる気配がない。
いや、仕事が忙しくてなかなか帰ってこない日は多い。日付が変わってから帰宅することも珍しくはない。

だけど、大事な話をするために待っているこの時間は長く感じる。

お風呂も先に入ってしまい、もうパジャマ姿だし……やっぱり話は明日にしようか……と思ったその時。


玄関の扉が開く音と、「ただいま」という陽平くんの声が聞こえた。

散々待っていたはずなのに、思わず飛び跳ねる心臓。

どうしよう。部屋を出て彼のところへ行かなきゃ。そう思うのに急に身体が動かなくなる。

緊張するし……やっぱり怖い……。


その時。


「ただいま!」

「ひゃっ!」

突然部屋のドアが開いたから驚いてしまった。
開けたのは当然陽平くんだ。


「あ、あの、ノックくらいしてよ……」

私がそう言うと、彼は閉めたドアを内側からコンコンと二回叩く。いや、誰も今ノックしろとは言っていない。

ていうか……陽平くん、なんか怒ってる? いつもの笑顔が全くない。


……って、それはそうか。私、彼のことを嘘つき呼ばわりして、挙句街中で泣き出して走り去ったんだもんね。意味わからないなこいつって思われてるよね。

やっぱり、しっかり話さなきゃいけない……。
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