騎士団長のお気に召すまま
アクレイド伯爵に連れられて、会場を避けて屋敷の中へと入っていく。

キャンベル邸のメイド達は突然現れたアクレイド伯爵と泥まみれのアメリアを見て目を見開くが、伯爵は笑顔のまま「すみませんが、彼女をお願いします」と伝える。

するとメイド達は事情を悟ったようで「すぐに」と頷いてアメリアを屋敷のさらに奥へ連れて行こうとする。


「えっ、え!?」


自分がどこに連れていかれようとしているのか、伯爵の考えすらも分からないで焦った表情をするアメリアに、伯爵は目を細める。


「このままじゃ、夜会に戻れないでしょう? ドレスを着替えなくては」


伯爵の言う通りだが、ひとつ困ったことがある。

アメリアはこれのほかにドレスなど持ち合わせていないのだ。

そう伝えると、伯爵は「心配いりませんよ」と優しく微笑んだ。

アメリアには何がどう心配いらないのかさっぱり分からないが、それ以上のことを聞く前にメイド達に連れていかれてしまった。

振り返ると伯爵が微笑んで手まで振ってくれているが、アメリアには微笑み返す余裕もなかった。


メイドに案内されたのは客人用の部屋だという。調度品はすべて煌めくような高級アンティークで揃えているらしい。それは浴室に至るまで部屋の隅々にあしらわれていた。

泥まみれのドレスを預けて、体についた泥も洗い流す。

浴室を出ると、ふかふかのタオルのほかに、まっさらなドレスが用意されていた。


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