騎士団長のお気に召すまま
アメリアも伯爵もその声が聞こえた方に目を向ける。
そこには目を見開いて余裕のない表情をしたシアンがいた。
「シアン様…」
思わず声がもれた。シアンの姿を見て安心している自分がいることに気付いて少し驚く。
アクレイド伯爵は微塵も驚いた表情はしなかった。穏やかな表情のまま「やあ、シアン」と声をかける。
シアンはその声かけに応えはしなかった。ただ鋭い目を向けたまま、アメリアを守るように伯爵の前に立つ。
「驚いたよ、まさかシアンがこの夜会に参加しているなんてね」
それを聞いたシアンは「兄上こそ」と少し口の端をあげる。兄の言った皮肉に対してシアンも皮肉で返した。
「当然だろう。弟の婚約者となるご令嬢の夜会だからね」
その言葉にシアンの表情が僅かばかり険しくなり、「彼女と婚約する気はないといつも申し上げているのですが」と低い声を出す。
しかし伯爵はこれ以上はこのことに言及せず、穏やかな声で話を変えた。
「それより、どうしてお前がアメリア嬢と共にいる? ミルフォード家との婚約は破棄するよう命じたはずだが」
声も表情も穏やかなのに、どこか刺のある言葉だった。
空気が張り詰めていくようで、アメリアの緊張はさらに高まる。
「ご命令の通り、婚約は破棄いたしました」
「ならば」
「けれど、アメリア嬢と一緒にいてはならないとは命じられていませんので」
そこには目を見開いて余裕のない表情をしたシアンがいた。
「シアン様…」
思わず声がもれた。シアンの姿を見て安心している自分がいることに気付いて少し驚く。
アクレイド伯爵は微塵も驚いた表情はしなかった。穏やかな表情のまま「やあ、シアン」と声をかける。
シアンはその声かけに応えはしなかった。ただ鋭い目を向けたまま、アメリアを守るように伯爵の前に立つ。
「驚いたよ、まさかシアンがこの夜会に参加しているなんてね」
それを聞いたシアンは「兄上こそ」と少し口の端をあげる。兄の言った皮肉に対してシアンも皮肉で返した。
「当然だろう。弟の婚約者となるご令嬢の夜会だからね」
その言葉にシアンの表情が僅かばかり険しくなり、「彼女と婚約する気はないといつも申し上げているのですが」と低い声を出す。
しかし伯爵はこれ以上はこのことに言及せず、穏やかな声で話を変えた。
「それより、どうしてお前がアメリア嬢と共にいる? ミルフォード家との婚約は破棄するよう命じたはずだが」
声も表情も穏やかなのに、どこか刺のある言葉だった。
空気が張り詰めていくようで、アメリアの緊張はさらに高まる。
「ご命令の通り、婚約は破棄いたしました」
「ならば」
「けれど、アメリア嬢と一緒にいてはならないとは命じられていませんので」