騎士団長のお気に召すまま
「俺に逆らうとは、考えもしなかったか?」
じりじりと足元から凍らされていくようなそんな恐怖が心を覆う。
自分に向けられていないものだとは分かっていても否応なしに押し寄せてくる恐怖の波に溺れそうになっていると、シアンが「思いました」と告げた。はっきり、そう言ったのだ。
その声でシアンを見ると、シアンはまっすぐに兄を見つめていた。
どうしてこの人は恐怖を感じないのだろう。
そう思って、すぐにアメリアは気付いた。
逸らせない瞳、引き締まった唇、強張った表情、握られた拳。
シアンだって恐怖を感じていないわけではないことに。
「思いました。けれど、彼女は今、青の騎士団の団員。今彼女が騎士団を去るようなことは、騎士団として、団長として、避けねばならぬことです。
例えそれが兄上であったとしても」
伯爵はシアンの瞳をじっと見つめて、それからクスと笑った。
それから「お前は本当にずる賢くなった」と言うのだ。
「我が国の貴族の一員である私が、騎士団に協力することはあっても、騎士団に歯向かうことはない。
例えそれが弟であったとしても」
「それを違えるつもりはない」と笑みをこぼして、シアンに近づく。
そしてすれ違いざまに問いかけた。
「お前は最初から俺の考えが分かっていて、俺から守るために彼女を騎士団に匿ったのだろう?」
シアンは何も答えない。
それを肯定の意味だと受け取った伯爵は、「いいよ、お前の好きにすればいい」とシアンの肩に手を置くとそのまま薔薇庭園を後にする。
「伯爵!」
じりじりと足元から凍らされていくようなそんな恐怖が心を覆う。
自分に向けられていないものだとは分かっていても否応なしに押し寄せてくる恐怖の波に溺れそうになっていると、シアンが「思いました」と告げた。はっきり、そう言ったのだ。
その声でシアンを見ると、シアンはまっすぐに兄を見つめていた。
どうしてこの人は恐怖を感じないのだろう。
そう思って、すぐにアメリアは気付いた。
逸らせない瞳、引き締まった唇、強張った表情、握られた拳。
シアンだって恐怖を感じていないわけではないことに。
「思いました。けれど、彼女は今、青の騎士団の団員。今彼女が騎士団を去るようなことは、騎士団として、団長として、避けねばならぬことです。
例えそれが兄上であったとしても」
伯爵はシアンの瞳をじっと見つめて、それからクスと笑った。
それから「お前は本当にずる賢くなった」と言うのだ。
「我が国の貴族の一員である私が、騎士団に協力することはあっても、騎士団に歯向かうことはない。
例えそれが弟であったとしても」
「それを違えるつもりはない」と笑みをこぼして、シアンに近づく。
そしてすれ違いざまに問いかけた。
「お前は最初から俺の考えが分かっていて、俺から守るために彼女を騎士団に匿ったのだろう?」
シアンは何も答えない。
それを肯定の意味だと受け取った伯爵は、「いいよ、お前の好きにすればいい」とシアンの肩に手を置くとそのまま薔薇庭園を後にする。
「伯爵!」