騎士団長のお気に召すまま
勘違いをしてしまいそうだ。

心配する気持ちは、自分の存在を受け入れてくれていた証。認めてくれていた証だ。

だから考えてしまう。

アメリアがいてくれて良かったと、いてほしいと、シアンがそう思ってくれていたんじゃないかと。

高鳴る心臓の音は、シアンにも聞こえてしまいそうなほどだ。

見つめる夜空色の瞳はなんて耽美だろう。星屑が散りばめられているみたいだとアメリアは思った。

月明かりに照らされた二人きりの薔薇庭園。星屑の瞬きがひどく美しくて、ここは夢だろうかと錯覚してしまう。

夜会の美しい音楽も優美な話し声も聞こえてこない。


まるで二人きりの世界。そんな感覚さえする。


「シアン様、それは…」


するとシアンは見つめていた視線を外して「勘違いしないでください」と強く言い放つ。


「仮にも貴女は騎士団員。騎士団員に何かあれば対処しなければならないのは団長である僕なので」


魔法が解けていくような感覚だった。ああ現実とはこういうものだと押しつけられるように目が冴えていく。

「それだけの理由です」とシアンは言うが、けれどアメリアにはとても信じられなかった。


「伯爵は言っていました。シアン様は私を伯爵から守るために匿ったのだと。どうしてなのです?」


伯爵の言葉は、シアンは最初からアメリアを守るつもりだったと言っているようなもの。シアンの考えが読めない。

もしかして、アメリアが好きだからなんて言ってくれるのでは、などとアメリアが妄想していると、シアンが重い口を開いた。
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