騎士団長のお気に召すまま
「さすがは団長が選んだお方だ」


独り言のように呟いて、「さァ、行きましょうか」とアメリアに声をかける。


「団長がお待ちです」


いよいよだ。アメリアは重ねた自分の手を強く握って覚悟を決めた。


騎士団に女性が訪れることは決して多いことではないようで、騎士団員達は突然現れた年頃の娘の来訪に驚きを隠せないでいた。

副団長が直々に案内していることもあって、アメリアは注目の的にならざるを得なかった。

ざわざわと居心地の悪い空気が続く中、レオナルドがギロリと一瞥するとすぐに鎮まる。

「ったく、あいつら…」とレオナルドは舌打ちをするが、アメリアも彼の威厳に圧倒されていたのだった。


団長が待っていると示されたのは外からも見えていた巨大な中央の塔だった。

もっとも、その塔の下の方は塔部分よりも大きな箱のような形の建物があり、その3階部分に団長の部屋があるのだと言う。


「基地内はちいっと複雑なんです」


辺りを見渡しながら歩くアメリアにレオナルドは笑いかける。

箱のような建物の中に入ってもアメリアは注目を浴び続けたが、前をレオナルドが歩くので不用意に話しかけられることはなかった。


「ここです」


やがてレオナルドが足を止めたのは、基地の3階の最奥の部屋だった。


1階、2階は多くの団員がいてざわざわと活気があったのだが、3階に足を踏み入れるとまるで空気が違った。

しんと静まり返った空気に、こつり、こつりとアメリアの靴音が響く。

本当に同じ建物の中なのだろうかと疑問を抱いてしまうほどの静けさだった。


レオナルドは迷うことなくその扉をノックした。


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