騎士団長のお気に召すまま
少し頬を赤らめて戸惑うジルをシアンはまっすぐ見つめて「あなたに頼みたいことがあるんです」と言った。


「そこにいる女性はアメリアといいます。今日からこの騎士団で、あなたと同じ職場で働くことになりました。

そこであなたにアメリアの教育係を頼みたいのです。仕事を教えてあげてください」



アメリアもジルも目を見開いた。それからお互いに顔を見合わせる。


「はあ?あたしがこいつの教育係?」


信じられないと言わんばかりに目を見開いているジルに、シアンは「お願いできますか?」と問う。

それを聞いたジルは溜息を吐いた。


「…団長であるあんたのお願いを、この騎士団の誰が断れるっていうんですか」


それはつまり了承の意味だった。

それを分かったらしいシアンは「では後は頼みます」と言った。


その言葉を聞いたジルは部屋を出て行こうとする。

何が起こったのか呆然と立ち尽くすアメリアに、ジルは「何やってんだよ」と眉間にしわを寄せる。


「早く行くよ!」


それから腕を掴んで引っ張って行こうとするので、アメリアは「す、すみません!」と謝るしかなかった。


「失礼します!」


なんとかアメリアが扉が閉まる前にそう言い切ると、すぐさまバタンと扉が閉まった。

2人が出て行った後の団長室は一気に静かになった。まるで嵐が過ぎ去ったみたいだとシアンは溜息を吐く。



「いやあ、面白い人だなァ、アメリア嬢は」


「こいつは面白くなるぞ」とレオナルドは肩を揺らして笑いを堪えようとする。

そんなレオナルドを横目で見ながら「そうですね」とシアンはあいまいな返事をした。

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