騎士団長のお気に召すまま
恐る恐る目を開けると、エディの剣はアメリアの頭上で止まっていた。

どこからかやって来たシオンが剣を抜いてエディの剣を受けとめているからだった。

アメリアは目を見開いた。


「基地内で剣を抜くなど、何事です。エディ」


エディの横に立ち、片手でその剣を受けとめるシアンは低い声で尋ねる。


「だ、団長!」


狼狽えるエディは顔を引きつらせて、恐怖からか剣が震えている。


「剣を下ろしてください」


その言葉は魔法のようで、エディの腕からはすっかり力が抜けて剣を下ろした。

しかしシアンはエディの喉元に剣先を当てて「説明してください」と目を鋭くする。


「裏方として騎士団を支えてくださっている方に、なぜ剣を向けていたのです」


その言葉は冷たかった。シアンは丁寧な言葉遣いをしているのに、守られているはずのアメリアも怖いと思ってしまうほどだった。


「こ、この娘が、あ、怪しい、と、お、思いまして…」

「怪しい?」

「て、敵国の諜報員かと!」

「敵国の諜報員?彼女が?」


真面目な顔をするエディに、シアンは「理由はなんです」と問うた。

けれどエディは何も答えられなかった。ただの推論だったからだ。

それを分かったのだろうシアンは溜め息を一つ吐き出した。


「明確な証拠もないのに決めつけて、挙げ句切り捨てようとしたのですか。呆れました」


声の温度が低くなったのを感じ取ったエディは必死に弁解をする。


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