臆病でごめんね
「いつも楽な方楽な方に進んで何も会得できないままただ年だけくって行ってるお姉ちゃん自身の生き方にダメ出ししてるのよ」
「ひどい…」
私は思わず俯きながら呟いた。
夢乃は昔からあらゆる面でツイてて、顔はそこそこ可愛いし勉強もさほど頑張ってる様子はないのに常に上位だし生まれつき運動神経も良くて、小学生の時から続けている陸上部では必ず部長を任されたりしてとにかく華々しい人生を歩んでいる。
だから私みたいに何故か同性に敵対意識を持たれ、そのせいで萎縮してしまって本来ある筈の実力を発揮できない不運な人種の苦労が分からないんだ。
「ほら、お姉ちゃん傷ついちゃったじゃないの!」
そんな私の様子を見てお母さんが怒り心頭で抗議した。
「…あくまでも自分が被害者な訳ね」
しかし夢乃はため息を漏らした後、冷たい声音で宣言する。
「やってらんない。私、部屋で食べるから」
ご飯とお味噌汁、お母さんが予め盛り付けてくれていたおかずの皿をトレイに乗せ、ダイニングを出ていった。
「夢乃!」
お母さんが呼び止めたけれど完全無視である。
「まったくもうあの子は…」
お母さんは再びため息を吐いた。
「気にしちゃダメよ、茅乃」
「うん」
「だけどまだあの時の事を根に持ってるのね」
「…あの時?」
「ほら。夢乃、一年の時に初めて彼氏ができて、家に連れてきたことがあったじゃない」
「ああ…。そういえばあったね」
「ひどい…」
私は思わず俯きながら呟いた。
夢乃は昔からあらゆる面でツイてて、顔はそこそこ可愛いし勉強もさほど頑張ってる様子はないのに常に上位だし生まれつき運動神経も良くて、小学生の時から続けている陸上部では必ず部長を任されたりしてとにかく華々しい人生を歩んでいる。
だから私みたいに何故か同性に敵対意識を持たれ、そのせいで萎縮してしまって本来ある筈の実力を発揮できない不運な人種の苦労が分からないんだ。
「ほら、お姉ちゃん傷ついちゃったじゃないの!」
そんな私の様子を見てお母さんが怒り心頭で抗議した。
「…あくまでも自分が被害者な訳ね」
しかし夢乃はため息を漏らした後、冷たい声音で宣言する。
「やってらんない。私、部屋で食べるから」
ご飯とお味噌汁、お母さんが予め盛り付けてくれていたおかずの皿をトレイに乗せ、ダイニングを出ていった。
「夢乃!」
お母さんが呼び止めたけれど完全無視である。
「まったくもうあの子は…」
お母さんは再びため息を吐いた。
「気にしちゃダメよ、茅乃」
「うん」
「だけどまだあの時の事を根に持ってるのね」
「…あの時?」
「ほら。夢乃、一年の時に初めて彼氏ができて、家に連れてきたことがあったじゃない」
「ああ…。そういえばあったね」