臆病でごめんね
「とにかくそういうことなんです。総務課長いわく「社員にはもちろんこれからも自分のやるべき事は責任持ってやらせますので、派遣さんもよろしくお願いいたします」とのことでした」


私が黙ってその言葉を受け止めていると、宇梶さんは更に続けた。


「この会社はとても寛大で、今回は口頭だけの注意で済ませて下さいましたけど、今後も改善が見られない場合は当然、契約破棄ということもありえますからね。あなただけではなくスタッフ全員に被害が及ぶかもしれない。くれぐれもその事を念頭に置いて行動して下さい」

「ちょっと外田さん返事は?」


言われなくてもそうするつもりだったのに、せっかちな阿川さんに余計な突っ込みを入れられ、私は変なタイミングで「はい。分かりました」と答える羽目になってしまった。

「…ひとまず、今日の所はこれで帰りますので」


そう宣言した宇梶さんは先輩方の「お疲れ様でした」「お気をつけて」という言葉に送られ控え室を出て行った。


「まさか何人もの社員さんに気付かれるくらいのミスを繰り返していただなんて…」


嫌な予感はしていたけれど宇梶さんがいなくなるやいなや案の定、阿川さんは心底呆れたような口調で私に攻撃を仕掛けてきた。
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