【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
蘭君と歩夢さん。2人で勝手に話進めちゃってますが、私の気持ちも聞いてくださいよ...。
蘭君の世話係なんて、頼まれなくてもやりたいけど
蘭君本人が嫌がってるんだから、ちょっと気が引ける。
でも
「いいよね...えーっと、名前なんだっけ?」
「彩羽、木実彩羽です」
「彩羽ちゃんね。
俺、堂本歩夢(どうもと・あゆむ)。
彩羽ちゃんに蘭のお世話任せてもいいよね?」
「えっ、でも...」
チラッと隣にいる蘭君に目を向けると。
蘭君は首を横に振りながら、"断れ"と強く訴えてきた。
だけど。
「やります!やらせてください!!!!」
前のめりになって、助手席の方の車の窓に首を突っ込みながら、歩夢さんに言った。
「なっ...!?断れよアホ女!!」
柄にもなく大声を出す蘭君が、私の服の襟を乱暴に引っ張って、私を車から引き離す。
「だって...!!私のせいで蘭君怪我したんだもん!!
少しくらい罪悪感消させてよ...」
本当は...少しでも蘭君のそばに居たいだけ。
せっかく、また関われたんだ。
この前"嫌い"って蘭君に言っちゃったけど。
あの時の気まずさがなかったかのようになっている今を...手放したくない。
蘭君は私に嫌いって言われても、全然気にしてないどころか、完全に忘れてるよね...。
でも私は蘭君に嫌いって言ったこと
あの日から今日までずっと後悔してる。
だから...より一層、蘭君の隣にいたいんだ。
好きになってとまでは言わないから
少しでも認めてもらいたい。