【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
口角を上げて笑う蘭君は、悪魔そのものだった。
でも...私から帰りたいなんて、絶対に言うわけないのに。
そう、お花畑の頭と心は...蘭君を甘く見ていた。
*
次の日の夜。
「ら...蘭君」
「あ?黙ってちゃんと洗え。
俺は手が使えねーんだよ」
「でもこれって...恥ずかしいよ」
「さっさと手動かせ」
「う...うん」
早くも帰りたくなったなんて。言えるわけがない。
お母さんに「光花の家に当分お泊まりするね」と嘘をつき。
着替えや暇潰し用のゲームを詰め込んだ大きなリュックを背負いながら
蘭君の家に夕方訪れたのですが...。
なぜか私いま、蘭君のお風呂のお手伝いをしています。
...って言っても
私はちゃんと服を着て、絶対に蘭君の方に向いてはいけないと
目だけはあっちこっちに逸らしながら、髪の毛を洗ってる最中。
よく泡立つ髪の毛は、質が良すぎて触り心地が最高です。
...って、感想が言いたいんじゃなくて。