【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。




口角を上げて笑う蘭君は、悪魔そのものだった。



でも...私から帰りたいなんて、絶対に言うわけないのに。



そう、お花畑の頭と心は...蘭君を甘く見ていた。





*


次の日の夜。




「ら...蘭君」


「あ?黙ってちゃんと洗え。
俺は手が使えねーんだよ」


「でもこれって...恥ずかしいよ」


「さっさと手動かせ」


「う...うん」



早くも帰りたくなったなんて。言えるわけがない。



お母さんに「光花の家に当分お泊まりするね」と嘘をつき。

着替えや暇潰し用のゲームを詰め込んだ大きなリュックを背負いながら
蘭君の家に夕方訪れたのですが...。



なぜか私いま、蘭君のお風呂のお手伝いをしています。



...って言っても


私はちゃんと服を着て、絶対に蘭君の方に向いてはいけないと
目だけはあっちこっちに逸らしながら、髪の毛を洗ってる最中。



よく泡立つ髪の毛は、質が良すぎて触り心地が最高です。


...って、感想が言いたいんじゃなくて。








< 112 / 451 >

この作品をシェア

pagetop