【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「ねえ彩羽ちゃん」
「はい...?」
「これ、蘭に渡してくれないかな?君の手で」
そう言って、歩夢さんはスーツのポケットから1枚の写真を取り出して、私の手に握らせた。
写真には、幼い男の子の笑顔と綺麗な女の人が写っていた。
「これって...」
「蘭が最近イライラしてる原因。それなんだ」
「えっ!?」
「それ、蘭の写真」
「じゃあこの写真に写ってる男の子って...」
「...蘭かもね?まあでも、蘭かどうかなんてそれは俺にも分からないけど。」
ううん
この子は絶対蘭君だよ。
でも、この頃はちゃんと笑えてたんだ...
濁りのない目をしてる。
「いつから...」
「ん?」
「いつからなんですかね...蘭君が"ああいう風"になっちゃったのって...」
「さあ?...それは蘭から直接聞いた方がいいんじゃないかな?」
「...」
返答に困った。
そんなの無理に決まってる。
だって蘭君は、私のことなんか信用してないから。