【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。




「ねえ彩羽ちゃん」


「はい...?」


「これ、蘭に渡してくれないかな?君の手で」



そう言って、歩夢さんはスーツのポケットから1枚の写真を取り出して、私の手に握らせた。



写真には、幼い男の子の笑顔と綺麗な女の人が写っていた。




「これって...」


「蘭が最近イライラしてる原因。それなんだ」


「えっ!?」


「それ、蘭の写真」


「じゃあこの写真に写ってる男の子って...」


「...蘭かもね?まあでも、蘭かどうかなんてそれは俺にも分からないけど。」



ううん

この子は絶対蘭君だよ。


でも、この頃はちゃんと笑えてたんだ...

濁りのない目をしてる。



「いつから...」


「ん?」


「いつからなんですかね...蘭君が"ああいう風"になっちゃったのって...」



「さあ?...それは蘭から直接聞いた方がいいんじゃないかな?」


「...」




返答に困った。


そんなの無理に決まってる。


だって蘭君は、私のことなんか信用してないから。




< 134 / 451 >

この作品をシェア

pagetop