【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「あの、お名前は?」
「あ?逆ナンか?」
「ちがっ...!」
「言っとくが、俺は高いぞ。
お前じゃとても払えねえ」
「...」
バカみたい。
ただ、助けてくれた正義のヒーロー様の名前だけでも知っておきたかっただけなのに。
答えを濁(にご)された。
きっと言いたくないのかもしれない...。
「金の方は、受付にいる奴が逃げた男共から取ってるだろう。
だからさっさと帰れ、邪魔だ」
客に対して、どうしてこんなに偉そうなんだろう。
助けてもらったから、そうは言えないけど。
とりあえず、ペコりと浅いお辞儀だけして
光花を連れて店から出た。