【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。





タクシーは暗闇の中へと溶け込んで、消えていく。



さすがにお店の中に戻るなんて、そんな勇気はなくて。



お店の前でジッと彼が出てくるのを待っていた。





夏の夜は、クラクラしちゃうほど暑くて、耐えられなかった汗が肌からすべり落ちていく。




暇つぶしにスマホをいじっていても、考えてしまうのは店員さんのことだけ。




冷たい口調

冷たい瞳

冷たい態度



"優しさ"とは無縁そうな彼が、隠し持っている優しさに触れてみたいと思った。




それから数時間が経った。


いつになったら彼は現れてくれるのか。




ついにスマホまで充電切れ。




ウトウトと。瞼が重い。




こんな所で眠るだなんて、自殺行為なのかもしれない。



だけど、人間睡魔に勝てないの。



いっそこの睡魔に身を任せて、意識をなくそうとしたその時。





< 20 / 451 >

この作品をシェア

pagetop