【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「やっぱり来たんだね...彩羽ちゃん」
言いながらコツコツと靴音を鳴らせて、何人もの不良の先頭に立つ歩夢さんは
まるで私がここに来ることを初めから知ってたみたいに警戒心を持っていない。
「歩夢さん...」
気持ち悪いくらい張り詰めた緊張感の中で、歩夢さんの顔を見たら少しだけ気持ちが和らいだ。
やっと蘭君に会える...
会ってこの胸のザワつきをどうにかしないと...私。
「せっかく来てくれたのに...ごめんね。
帰ってくれないか?」
「......えっ?」
暗闇の中にほんの少しだけ残っていた光が、大きく瞳を揺らす。
歩夢さんが私にそんな事を言うなんて。
やっぱり今日は、ううん、昨日から変だよ歩夢さん。
そんな私を突き放すような言い方......
違う、これは歩夢さんの言葉じゃない。
その突き放す言動は...一体誰が指示してるの?
「あゆ...む、さん。
蘭君に会いたいです」
「彩羽ちゃんごめんね」
「会いたい」
「...」
「...歩夢さん、」
「...蘭が」
「...」
「もし彩羽ちゃんが倉庫に来たら、追い出せって。
総長命令なんだ...だから」
”ごめん”