【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「彩羽ちゃん...」
同情ついでに私の涙を拭おうとする歩夢さんの手を、勢いよく払った。
それにひどく動揺し始める歩夢さんは...酷いくらいに優しいままだ。
「...蘭君を信じろって言ったくせ...」
「...っ...」
「歩夢さんがそう言ったくせに!
なんで邪魔するの!?
なんで会わせてくれないの!!」
ーーーなんで、私の味方をしてくれないの。
それは、蘭君が総長で歩夢さんが下の立場だから?
ううん、そんなの関係ないよ。
だってほら、私の言葉1つで歩夢さんの顔が一気に壊れていくんだもん。
本当は歩夢さんだってきっと、蘭君を助けて欲しいのに。
当の本人、蘭君が1人で闇を抱えようとするから
せっかく出来上がってきた関係が崩れていっちゃうんだ...。
1人でなにかに怯えて
それを封じて、誰にも助けを求めず
一体蘭君はなにがしたいの...?
むかつく。
それなら最初っから、ぶっきらぼうに私なんか助けないで放っておいて...出会わければよかったのに。