【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。



*



肌を焦がすだけ焦がして知らない振りをする夏に見つけた母さんと父さんの関係は
あれからどうなってるのか分かんないけど。



この歪な夫婦生活は続いている。



小学五年生の冬。


母さんは肌を見せる服を着ることはなくなった。


だけど俺は知っている。


冬だから長袖を着ているじゃない。

寒さなんか構いやしない
ただ
母さんは父さんに殴られた跡を隠すためだけに、首元まである服を着ているんだ。




「...蘭、最近学校はどうだ?」


テーブルを挟んで、俺の前で新聞を広げながら少しだけ焦げた食パンをかじってる父さんが話しかけてきた。



「別に、普通」


「そうか」



母さんを殴ってる罪悪感を消すためか、最近やたらと俺に話しかけてくる父さん。



...父さん、俺知ってんだぜ?


あんたが母さんを殴ってること。



でも俺、あんなに好きな母さんでも、あんたが怖すぎてなんも言えねーんだよ。



頼むから、母さんが好きなら暴力なんかやめてくれよ。



暴力はなにも生まないってこと、大人なら知ってて当然だろ?



なあ父さん。





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