【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
お互いの小指と小指を絡めて、約束した。
指切りげんまんなんて子供騙しな約束、いつ破られるか分かんねえけど。
母さんは俺を、俺は母さんを求めてる。
それだけで、母さんと俺の絆は深いんだ。
「じゃあ行ってくるね、母さん」
「いってらっしゃい、蘭」
いつもの朝
いつもと何も変わらない光景。
いつもと...なにもかもが同じで、俺は見えていなかったんだ。
俺が玄関を出ていく姿をじっと見つめて、涙を流している母さんの姿を。
俺は気づくことなく、学校まで走った。
ひたすら走った。
吸って吐いて、吸って吐いてを繰り返すだけの平凡な人生が
ただの日常が音も立てずに崩れていることに気がつかないまま。
俺は今日も、子供という義務を果たすんだ。