【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
ーーーガチャッ、バンッ!!!!
乱暴にドアが閉められる音が、玄関の方から聞こえてきた。
「母さん!?」
走って玄関の方に向かった。
だけど...
「...父さん」
シャツのボタンが3個も開いてるだらしない父さんが、玄関先で倒れていた。
そんなダサい父親の姿を見て俺はげんなりした。
...つか、酒くせえ。
「父さん...、酔っ払ってんの?」
「酔ってねぇ、酔ってなんかいませーん」
...完全に酔ってんな、これ。
父さんの腕を俺の肩に回して、小さい体で部屋まで運んだ。
今日の父さんは少し変だ。
酒なんか...あんまり飲まないくせに。
今日はどうしたんだよ。
いつも無口な男が、酒でこんなにもみっともなくなってしまうなんて。
父さんも仕事で疲れてるんだな...。
ダブルベッドに父さん1人は、少しだけ寂しく見える。
父さんに布団を被せて、俺も部屋に戻って寝た。
その夜、結局母さんは帰ってこなかった。