【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
*
パリーンと。
食器が何度も割れる音で目を覚ました。
「父さん!?」
起きたばかりなのに、珍しく意識がハッキリしてる俺が、階段を駆け下りてリビングに顔を出した時。
「あのクソ女...っ!!」
父さんは部屋中をめちゃくちゃにしていた。
「父さん!!やめろよ!!
なにしてんだよ!!」
「離せ蘭!!
あの女だけは絶対に許さねえ!!
いつか絶対に殺してやる!!」
「落ち着けって父さん!!」
暴れる父さんを取り押さえるのに必死で、割れた食器の破片を踏んづけていることに気がつかなかった。
あの女って誰だよ...
まさか母さんのこと?
てか
「母さん、まだ帰ってきてないのか?」
部屋を見渡しても、俺と父さん以外の存在感が感じられない。
暴れていた父さんが、時空が止まったかの様にピタリと静かになる。