【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。




硬いコンクリートの上で寝ていたせいで、体のあっちこっちが痛え。


俺は重い腰を擦りながら家に帰った。



「...」


帰る場所があるだけマシだと思った方がいい。

だけど

目の前に建ってるあの日から何も変わらない家の見た目が、正気を保とうと必死な俺の心を乱そうとしてくる。




「...ハァ...」


吸って吐いて吸って吐いてを繰り返しても、あの頃には戻れない。


じゃあなんで...俺は息をしてるんだろう?



「...ただいま...」


外にいると、世界が広く見えて嫌になる。
俺はドアを開けて、自分の世界に閉じこもるよう扉を閉めた。



「...父さん、」


いつも通り、真っ先にリビングに顔を出すと、父さんがスーツのままソファで寝ていた。



ひどい顔だ


2年前までは、もっとキリッとしててカッコよかったのに。



可哀想な父さん


父さんは俺と一緒だ。


俺と一緒に捨てられたんだ。


俺はもう、父さんのみっともない姿を見ても何にも思わなくなった。


思うどころか、同情しか生まれてこない。



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