【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
「こんな所で寝てると風邪引くぞ、父さん」
俺は父さんの部屋から持ってきた布団を、寝ている父さんに被せた。
すると
「んっ...」
肌に布団が触れた感触で目を覚ました父さんが、視界の中に飛び込んできた俺の顔を見て息を呑む。
そんな父さんが予告無しで
ーーーパンッ!!!!
俺の頬を叩いた。
「出ていけ!!なんでお前がここに居るんだ...っ!!」
「父さん違う、俺はあの女じゃない」
「消えろ、消えろ、消えろ!!
お前は俺の人生をめちゃくちゃにした!!消えろよ!!!!」
「...」
あの日から、父さんの心はすっかり壊れてしまった。
あの女の顔に似ている俺を見て、父さんは取り乱すことが多くなった。
全部...あの女のせいだ。
だから俺は何度殴られても、父さんを責めたりなんかしない
出来るわけないだろ...そんなこと。
「...父さん...」
「...ら、ごめっ。
また父さん、お前を殴って...」
唐突に我に返る父さん、いつもこうだ。
今更驚いたりなんかしないさ。
「いいよ、別に。
父さんの気持ち分からなくもないもん」
「...らん...」