【完】孤独な闇の中、命懸けの恋に堕ちた。
あの女が消えてから生まれた俺と父さんの愛は、触れたら最後
どこまでも儚い。
「蘭...っ!!
なあ蘭!!人間は裏切る生き物なんだっ!!」
「ぐっ...!」
「世の中金だ、金だけは裏切らない。
この世は金に支配されている」
「...っ」
「愛なんてもんは、金の力でどうとでもなる。
お前を捨てたあいつもそうだ。
最初っから俺の金目的で結婚したんだ、はは、笑えるだろ?」
痣が残るまで、父さんの拳は俺に振ってくる。
ーーーバキッ
ーーードカッ
ーーーグギッ
温くなった血を吐いて、骨が折れても病院には行かない。
病院に行ったら...父さんが逮捕されてしまう。
俺にはもう...父さんしかいないんだよ...。
だから...
「...とう...さん、」
途切れ始める意識の中、囁いたその言葉は、忘れようと必死な愛を思い出させる。
あの女の代わりに俺は殴られてるなら....
父さんはもしかしてまだあの女のこと...。
いや、それはないか。
だって父さん
今にも殺してしまいそうな目で、俺を見てるんだもん。
俺はフッと笑って...意識を手放した。