Flower love
満月の静かな夜、あるアパートでひたすら扉を叩く音が鳴り響く。

「ラウルさーん! いらっしゃいますかー?」

レオはドアベルを鳴らしながら、扉までも壊しそうな勢いで叩く。

いや、正確には殴る。

「君ね、焦ってるのは分かるけど人ん家の扉壊すなよ」

ロアは苦笑気味な表情を浮かべて、軽くレオの肩を叩く。

「いねぇのかな」

「出ないならいないんだろうねぇ? まだ仕事かな」

「ったく、こっちは時間ねぇのにっ!」

レオは顔をしかめた。

「……あなたたち」

と、急に声をかけられたため、男二人は無意識に身構えた。

「げっ」

ロアはフィルシアの顔を見た瞬間に顔をしかめる。

まだキスされたことを、根に持っているらしい。

「あ……何だ、フィルシアさん」

「どうかしたの?」

どうかしなければ、もうこの年に来ることも無かっただろう。

レオはため息をつき、

「リンがさらわれたんです」

と、俯きながらこう言った。

「え、さらわれた? は?」

フィルシアは半眼になって首を傾げる。

「リンちゃんがさらわれたんだよ。一回で理解しろっ」

ロアは苛立ちながら強い口調でこう言った。

あんただって、一回で理解出来なかっただろと、レオは横目でロアを見つめる。

「夜中の1時までに一千万を持っていかないと、リンちゃんの命が危ないんだ。ラウルは何処にいるんだよ」

「……ちょっと待って、理解できない。どうしてラウルが必要なわけ? ラウルはもう関係ないはずでしょ」

「……未来のラウルさんが要求してるんです」

レオは俯きながら答えた。
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