「其の花の、真白に咲く」〜麗しの執事と令嬢の秘恋〜
ドレスを着せられて、ドレッサーの前で髪がとかれる。
「ふぁーあ…」
長々と続く身支度に、退屈であくびをすると、
「ジュリア様、はしたのうございます。あくびには、手を添えられるようにと以前から……」
メイドが言い終わらないうちに、
「はいはい、今度からはちゃんとそうするから」
と、話を打ち切った。
ーー寝室を出て広間に行くと、リュートが紅茶を淹れていて、その薫り高い匂いがやや遅めな朝の空気に、ふわりと満ちていた。