伯爵令妹の恋は憂鬱
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応接室にはすでに人数分のお茶が用意されていた。
泣き出したエルナは、メラニーが抱きかかえてなだめていて、待ち構えていたエミーリアはようやく笑顔の戻った義妹を力いっぱい抱きしめた。
「お義姉さま」
「マルティナ。よく来たわね。さ、座って」
エミーリアはマルティナの手を引き、ソファに座らせる。
「心配してたの。でもうまくいったのね? きっと。今はディルクの屋敷? トマスはなんて言ったの? 不自由はない?」
そして矢継ぎ早に質問を繰り返す。マルティナがタジタジになっていると、トマスがにこやかに間に入った。
「エミーリア様。それではマルティナが答える隙がありません」
「あらだって。気になることがいっぱいあるんだもの。それにしてもトマス……うふふ、あなたもやるときはやるのね」
ニマニマと笑うエミーリアに、トマスは咳払いで答える。
「なんですか、エミーリア様、その顔」
「だって。ねぇ。トマスがこんな若い子を好きになるとは思わなかったから」
「ね、ロリコンですよね。変態ですよね」
なぜか話に入って来るのは、振られた格好となったミフェルだ。
「……ミフェル様?」
トマスは青筋を立てつつミフェルをにらむ。ミフェルはたじろいだものの唇を尖らせて言い返した。
「ちょっと僻むくらいいいだろう。大型犬の従者に令嬢をかっさらわれたら文句の一つも言いたくなる」