ワンダーランドと雪白姫(童話集)


 雪白姫に毒を飲ませることをあきらめた継母は、次の日からも料理にはげみ、おいしい料理をたくさん作りました。

 作りすぎて王さまや雪白姫だけでは食べきれなかったときは、王さまの家来やお城のめしつかいたちにもごちそうしたのです。


 継母が作るおいしい料理のうわさはみるみるうちに国中に知れわたりました。

 それを知った雪白姫は、たくさんの人たちに食べてもらおうと提案しました。継母もぜひそうしたいと思っていましたので、みんなでじゅうぶんな準備をしたあとで、国中の人たちをお城に招待したのです。


 その日継母は、雪白姫やめしつかいたちと一緒に、朝からせっせと料理を作りました。

 できあがった料理は、王さまや家来たちがこつこつと庭に運びます。
 集まった国中のひとたちは、テーブルにならんだ豪華な料理を次々にたいらげました。

 国中のひとたちは継母が作ったおいしい料理に大満足で帰っていきました。

 用意した食材を全部使いきった継母たちが汗だくで外に出ると、ちょうど最後の皿が空になるところでした。


 最後のひとかけらまできれいに食べきった老婆は、継母を見つけるとうれしそうにかけより、そのしわしわの手で継母の両手をにぎり、何度も何度もお礼を言いました。

 継母はこれまでにないくらいのしあわせを感じ、思わず老婆の細い細いからだをだきしめました。



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