ワンダーランドと雪白姫(童話集)



 その日の夜、継母はくたくたで部屋にもどりました。からだはとても疲れていましたが、気分はとても晴れやかでした。

 そしてみだれた髪もそのままに、鏡のまえに座ると、何とは無しに聞いてみたのです。

「鏡よ鏡、この世で一番うつくしいのはだれですか?」

 すると鏡はこう答えたのです。

「この世で一番うつくしい心の持ち主は、お妃さまでございます」

 それを聞くと継母はとてもおどろき、そして照れました。

 魔法の鏡は見た目がうつくしいひとの名を答えたのではなく、心がうつくしいひとの名を答えていたのでした。

 継母は鏡にていねいにレースをかけ、一日の疲れをいやすためベッドに向かいました。

 明日も朝から元気に料理を作ります。明日はどんな料理を作ろうかと考えながら、とてもしあわせな気分でねむりにつきました。




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