今日もたっくんに溺愛されちゃっています。




「俺をフッた女、あんたで二人目だわ。やっぱり芹沢ってムカつく」



ベンチに座る私を見下ろす矢吹先輩の目は氷のように冷たい。

なんだか怖くなってベンチに置いていたお弁当袋を持ち、焦って立ち上がり急いでその場を離れようとした。



でも、私は焦ったり急いだりすると…




「危な…子供じゃないんだから」

「す、すみません」



案の定、転けそうになったものの矢吹先輩が私の腕を掴んでくれたおかげで転けずに済んだ。


助けてくれたし悪い人じゃないのかな…?


だけど、先輩はいつまでも掴んだ腕を離してくれない。

それどころか、グッと力を込めるようにして掴まれたまま。




「俺は昔から芹沢が大っ嫌いなんだよ。あいつの大事なもの絶対奪ってやる」

「えっ…?わっ…!」




何が何だか分からないまま腕を引き寄せられる。

次の瞬間には矢吹先輩の腕の中にいて、すぐに耳元に落ちてきた唇が言葉を紡いだ。




「絶対俺のものにするよ。朱里ちゃん?」

「なっ、…んで私の名前…離してっ!」

「じゃあ離してあげる。またね」




踵を返し校舎へと戻って行く先輩の背中を見ながら頭に浮かんだのは…

何故か、たっくんの顔だった。

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