溺れて。
「ほんと、梨乃の作る料理って美味しいよね〜」
香ばしい音を立てながら茉莉が春巻きを頬張るのを見つめた。
「美味しいならよかった。その春巻き失敗しちゃったと思ってたから」
「失敗なんかしてないって!ほんと、あんたはいい嫁になるよ・・・」
うーん、弁当を作れるだけでいい嫁とは言えないと思うのだけど・・・。
まあ、ありがたく受け取ることにしよう。
すると、茉莉は何かを思い出したような顔をした。
「ねえ、そうだ。梨乃、私たちこのクラスで良かったよ!!」
「あー、男女比が等しいから?」
このクラスは珍しく、男女比が等しい。まあ普通科だからっていうのもあると思うけど、大抵は女子が多いはずなのに。
「ちがうちがう、そうじゃなくて」
私が首を傾けていると、茉莉は箸を置いてため息をついた。