待ってろあおはる
ゆっくりランチしていたら、急に先輩が、
あ、やば。そろそろ買い物行かないと。
と、時計を見てる。

買い物?と聞いても、
ほらほら、行くよ。と、せかす。

聞いても答えてくれないので、
とにかくついて行くと。

ここ見よう。と、指差したのは…。

いわゆる…アクセサリーやさん。

え?え?と、戸惑うあたしの手をとって 。

なんだか、小さい手だよねぇ。
やっぱり、俺には想像つかなかったな…。
と、つぶやく。

お店のキレイな女性スタッフが、
何かお探しですか?と聞くと。

指輪はどこですか?と、言う。

ゆ、ゆびわ??あたしに?

パニックになってるあたしを見て、
好きなの選んで?と、照れている。

これって…もしかして…?
と、見上げると。

うん。クリスマスプレゼント。
俺が見ても、全然わからなくってさ。
もう、好きなの選んでもらおうと思って。

そ、そっか…。
クリスマスプレゼントに…指輪…。

彼氏がいるクリスマスなんて、
経験したこともない。
恐ろしく鈍感なあたしは…。
本当に、そんなこと、これっぽっちも
予想してなくて。

もう…やぁだ…。
ビックリと、嬉しいので、涙が落ちる。

ちづる?
ちょ、ちょっと待って。

店の人からあたしを隠しながら、
一度外へ出て。
なんで?どうした?
と、顔を覗き込もうとする。

だって…。
としか言えないあたしに。

欲しくなかった?と、少し心配そうに聞く。

ぶんぶん首を振るあたしに、安心したのか。
そっか。よかった。
ビックリしたよ〜と、頭なでてくれる。

ほらほら、泣き止んで。
今日は、随分大人っぽいと思ったけど
やっぱり中身はいつものまんまだなー。
と、あきれたように笑うから。

ちょっとにらんで、
いっちばん高いのにしよ。と、言うと。

あ、ごめん。ちづる様。許して。と笑う。

そんなこんなで…。
あたしの左手には、
細いリングに、小さなアクアマリンの指輪。

指輪の感触が、なんだか、くすぐったい。

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