Perverse second
女に興味がなかったわけじゃない。



早い時期からそれなりに彼女もいたし、それなりの経験もしてきた。



ただ大して気持ちが動くことはなく、恋愛なんてこんなものか、と冷めている自分がいた。



来る者拒まず去るもの追わず。



けれど浮気や二股をしたことはない。



修羅場になるのも面倒だったし、そんなリスクを背負ってまで女に手を出そうなんて欲もなかったから。



結局いつも『恋愛に冷めている』だの『態度が冷たい』だの『本当は私のことなんて好きじゃないんでしょ』だの。



女達は好き勝手に、けれど図星をついて去っていく。



それでも何の感情も湧かなかったし、それでいいと思っていた。



陸いわく、これが『女に落ちない男』の由縁らしい。



それなのに一目見ただけで、簡単に俺を気持ちを転がり落とした女。



1年以上経っても一向に俺の中から出ていかなかった女。



もう一度会いたいと、夢にまで見た女が今俺の目の前にいる。



そう思うともう、入社式どころではなかった。
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