Perverse second
調子よさげに仕事を進めていたように見受けられた三崎が席を立ったのは、十五時少し前だった。



やけに勢いよく席を立ち、力んでフロアを出て行った三崎の背中を見送って、俺も何となく席を立った。



ちょうど給湯室前を通りかかった時、後ろから足音が聞こえ、「柴垣」と津田さんの声がする。



振り返ると津田さんは給湯室を指差したた。



「ちょっといいか?」



「はあ……」



気のない返事で津田さんの後に続き給湯室に入る。



「こんなところでどうしたんですか?」



「ちょっと柴垣の耳にも入れておいた方がいいかと思ってね」



「どういうことですか?」



そう聞いた俺に津田さんは意味あり気に笑った。



「三崎さんのことでね。柴垣は聞いてない?今日の三崎さんがやけに気負ってる理由」



津田さんのその言葉と表情に、俺はピクリと反応してしまった。



『俺は知ってるけど』とでも言いたそうに津田さんは笑った。
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