Perverse second
「三崎さんね、今、竹下さんと二人で話してるよ」



「は!?竹下と!?」



さっと一瞬にして血の気が引いた。



三崎があの竹下と二人で話すなんて、大丈夫なんだろうか。



何かあれば一言くらいは言ってくれると思っていたのに。



結局俺はやはり三崎のために何もしてやれなかったのか。


項垂れかかった時、ふと右手が温かくなったような気がした。



そうか。



だから三崎は俺の手を握ったのか。



少しでも俺の手で三崎の勇気が膨らんだのなら。



「どうする?三崎さんと竹下さんは小会議室にいるはずだけど」



俺は津田さんの目を見てはっきりと答えた。



「三崎なら大丈夫です。きっと竹下ときっちり話を付けられるはずですから」



そう、きっと三崎なら大丈夫だ。



俺の答えに驚いた津田さんは、目を丸くする。



「相手はあの竹下さんだよ?心配じゃないの?」



心配じゃないわけないだろう。



けれど俺は、津田さんが知らない三崎を知っているから。



「津田さん。三崎はああ見えて実は強いですよ。ちゃんと自分で解決できる奴です」



そう言って微笑むと、「自分の方が三崎さんを理解してるって言いたげだね」と先程の俺と同じ感情を津田さんは失笑しながら吐き出した。



「もし何かあったら教えて。俺も全力でサポートする」



そう言い残して去って行った津田さんの背中に向かって。



「誰が教えるかっつーの」



と小さく呟くと、俺はエレベーターホールへと向かった。
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