Perverse second
なんだよ、忘れものかよ。



それとも仕事入ったのか?



もしくはやっぱり断られた?



だったら行かなくていいんじゃね?



つーか、行くな。


幼稚な発想を脳内で繰り広げていた俺の横に、津田さんはゆっくりと歩み寄ってきた。



「柴垣」



名前を呼ばれて顔を上げると、津田さんはにこりと微笑む。



なんの笑いだよ。



「なんすか」



津田さんの呼びかけに愛想なく返すと、彼は漏れた笑みを口元に拳を当てて隠した。



「柴垣には俺の気持ちを知られてるし、ライバルだってこともわかってる。だから抜け駆けなく、ちゃんと言っておこうと思ってね」



周囲に聞こえないほど声を潜めて、津田さんは俺に告げた。



「俺、今日、三崎さんに告白するから」



「はあっ!?」



あまりにも突然すぎる宣告に、俺は思わず声を上げた。



「しー。静かに」



人差し指を唇に当てて、津田さんは可笑しそうに笑った。



「一応報告しとこうと思ってね。明日も仕事だし十時くらいには帰すつもりだけど、もしかしたらもしかするかも……ね」



わざとのように俺に耳打ちし、「じゃ、お疲れ様」と一方的に話を終わらせて、津田さんはもう一度背を向けてフロアを出ていった。
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